突然、兄から電話が鳴った。
遠くに住んでいる兄から電話が来るということは、何か良くないことがあったに違いないと思い、すぐに出た。
兄からの報告は
『癌になってしまった』
というものだった。
骨折もしたことがないような、元気が取り柄の兄が病気になるなんて。
まだ30代半ばで若いのに。
その衝撃が大きすぎて、本当のことだとは思えなかった。
まだ精密検査前で、本当の病名や治療法などの詳細は何もわからない状況。
今は何もできることはなく、精密検査を待つしかない。
その時、もともと医療職で働いていた頃に感じていたことを思い出した。
『病気は本人にとっても、家族にとってもあまりにも残酷だ』ということ。
何か悪いことをしたからでもない。
生活習慣が悪かったからでもない。
真っ当に生きていても、病気は突然やってきて人生を変えてしまう。
そして本人だけではなく、家族の人生をも変えてしまう。
そんな現場を、私はいくつも見てきた。
そして最近の私は、未来がどうなるか不安になったり、挑戦することが怖くなったりすることが多かった。
でも、それは「毎日が今までと変わらずあることが当たり前」という前提で考えていたからだと気づいた。
病気を身近に感じた瞬間、人生はそんなに長くない、
だからこそ、『今』を生きることを必死に考えるようになった。
病気かどうかに関係なく、明日が必ずあると誰だったとしても言い切ることはできない。
そう思うと、未来がどうなるかを想像して不安になるよりも、
『今日やれることに集中して真っ当する』
それを意識することのほうが、人生を生きる上で大切なんじゃないかと感じた。
私に何ができるかは、まだわからない。
ただ、『今日やれることに集中して真っ当する』ことを続けて、
兄に何かサポートが必要になった時に、すぐ動ける人間でありたいと思う。


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